仕事からの帰りの乗換駅のホームに立つと、60代のご夫婦が先頭に並んでいました。
私は隣の入口の列に並んでいたのですが、身長が150cmにも満たない女性が、おそらく夫であろう170cmぐらいの男性がふらふらしているのを支えている姿に目が止まりました。

ひと目みて男性が酔っぱらっていることに気づきました。女性はしっかりしていて、男性にまっすぐ立たせようと気合を入れているようでした。でも男性のふらつきはおさまりません。

先頭に立っていて危ないので、私は列から離れて女性のところに行き、「ささえましょうか」と声をかけました。すると、女性は身振り手振りで、男性が酒に酔っているだけだから大丈夫と意思表示をしました。女性は言葉がしゃべれない障がい者だったのです。
気になったのでその夫婦の後ろにいました。

しばらくして男性が大きくふらついたので、上腕部に手を添えました。
男性は、私の顔を「キッ」とにらみました。すると女性は手話で、私がどうして手を添えたのか説明してくれました。
男性は、すぐに私の方にからだ全体を向けて、両手を合わせながらペコリペコリとお辞儀をしてきました。

ご夫婦ともに、言葉がしゃべれない障がいをお持ちの方だったのです。

手話と表情以外のコミュニケーション手段を持たないご夫婦が、60代になるまで互いに支え合って生きてこられたのだと思うとジーンときてしまいました。

言葉というコミュケーション手段を持つ私が、妻にきちんと家を出た理由を説明しなかったことをつくづく反省しています。


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